新・四万十川新聞【日曜版】



2007年 05月 06日 ( 1 )


寅次郎の「四万十川の大休日」  第17巻

    男はつらいよ 第49作 (シナリオ:幡多山正太郎 挿絵:久米真未

■場面(11) 居酒屋「ちか」・その1

 中村の夜の飲食店街。

 家庭的な雰囲気の居酒屋「ちか」のカウンターで大将夫婦を相手に与太話をし、酒を独酌する寅さんの姿がある。

 少し離れた座敷席では、男だけのグループ1組4人が、わいわい話しながらビールと酒を飲んでいる。どうやら好みの女性談義に熱が入っている風。

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[台詞]

寅「大将、そのアカメてのは、そんなに目が赤いのかい?」
 「はい、車のテ-ルランプみたいに赤く光っているんですよ。幻の大魚と言われて大きいものは、1mを越えますけんど、身はまずくて地元のものは食いませんがね・・・。」と、幡多弁風標準語で解説する。

寅「そりゃおもしれえ、しかし、何だって赤い目になったのかねぇ。」
 「大方恋に破れて 泣きはらしたんじゃないでしょうかね。」と、とぼける。

寅「大将!、気に入ったぜ。おいら江戸っ子よ、そういう洒落た話は大好きよ、まあ、一杯やりな!」と、カウンタ-内の亭主に酒をさす。

寅「だけどな大将、義理と人情に生きる俺たち渡世人はよう、やたら涙なんて流しちゃあいけねえんだぜ。そこが渡世人の、辛いところよ。」と伝法なことも言って聞かせる。そして都都逸風にうなる。

 『恋をなくした、アカメちゃん、流した涙はどこへいく、竜宮城へは亀がゆく、太郎はじいちゃんになりました、と来たもんだ・・・』と、絶好調の酔い具合。

 ここで、なぜか、別のテーブルで飲んでいた、昼間のサッカーの監督の顔がアップで写り、カメラが引くと、例の「男だけの4人グル-プ」の女性談義も佳境に入った模様:

A「おらは、中山美穂がえい。」
B「ぼかあ、深田恭子がえい。」
C「わしぁは、やっぱり吉永小百合じゃのう。」

A「サユリストの社長の話がまた始まった。けんど小百合も、もう60過ぎですろう。」
C「還暦を過ぎようと、ワシにとっちゃ永遠のマドンナよ。おまんら、若いしには、あの気高さはわからんろうのう。地上に舞いおりた最後の天使よ。わしは今でも胸がときめく。」

A「奥さんに言うちゃろ。」
C「とっくに公認じゃ。」

B「それってやっぱり、精神的な不貞じゃないですか。」
C「やかましい!」
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 そこまで下向きに、じっと考え込んでいた20歳代後半の若い男D[伊藤英明]が、

D「ぼかぁ、やっぱり、市役所の真智子がえい。」と、唐突に、芸能界ではない女性の名前を挙げた。かなりの酔いから、つい本音が出たか。

一同「おおっ、おんしゃ、まだ諦めてないがか。」と、口々に冷やかす風。一同この男の恋のいきさつを知っているものと見える。

 寅さんは、当然この名前を聞くや、さっと立ち上がり、男たちのテ-ブルの縁へ移動。手には銚子と盃を持っている。

寅「よう兄ちゃんたち、その真智子て、木俵真智子さんのことかい。」と、問いかける。
 「そうじゃけんど、オンちゃんは真智子さんとどういう関係ぜよ。」と、突然の乱入にやや、いぶかしげ。他の3人も似たような受け止め表情。

寅「ん、おれか。おれは真智子さん、うんにゃ真智子とは、短歌を詠みあう仲よ。」
 「おんちゃん、短歌をやるかよ。あの真智子と短歌を張り合うとは、只者じゃないねぇ。大したもんじゃ。まあ座りや。」と、受け入れ体制は整っていった。

D「ぼかぁ、あの真智子さんに前にラブレタ-を出して、振られたことがあるがよ。気の利いた短歌を書き添えちょったら、今ごろは、僕の嫁さんになっちょったかも知れんけんど・・・」と、自らの才能不足を嘆く風。酒が謙虚さと併せて愚痴も呼んだか・・。

寅「そうかいそうかい、振られたのかい。それも気の利いた短歌一つが出来なかったせいか、というのかい。」と、いっぱしの歌詠みを装う。

C「あの真智子という子は、自分で短歌集を出すばぁ才能があってねぇ。しかも四万十観光大使もやりよって、中村では結構名前も売れちょってねぇ・・・」と、リーダー格のサッカーの監督Cも、真智子に一目置いている風。
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【ポスター】  [第28作]
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 寅次郎  : 渥美 清
 櫻     : 倍賞千恵子
 マドンナ : 音無美紀子
 ロケ地  : 福岡久留米
          静岡焼津

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 久留米の神社で商売をしていると、仲間の常三郎の妻・光枝が一人でたこ焼きを焼いている。

 聞けば、夫は重い病に伏せっているという・・・

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by tora100s | 2007-05-06 12:44 | 新聞小説


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