男はつらいよ 第49作 (シナリオ:
幡多山正太郎 挿絵:
久米真未)
■場面(13) 旅館の2階
寅さんの泊まっている旅館の2階の部屋に、昨日の居酒屋の若い衆が寅さんを訪問している。人生が掛かっているとばかり必死の面持ち。夕べの酔っている時とは違って緊張感が漂っている。
窓の敷居にタオルの鉢巻姿で、いなせに足を組み座っている寅さん。
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[台詞]
「寅さん、いや師匠。どんな短歌でいきましょうか?」とメモ帳を出す。
寅「おらよう、あれからおめえさんと別れて、じっくりと今まで考えたんだぜ。」と、勿体と格好をつけて、やおら腹巻からしわくちゃのメモ用紙を出して読み上げる。
寅「夏の野の茂みに咲ける白百合の知らえぬ恋は苦しきものを・・・・どうでい、若いしいいだろう。」とメモを手渡す。
「こりゃいい! ぼくの思いそのもんじゃ。」と、うれしそうに賞賛する。
寅 「よし、じゃあこれからの段取り、だがよ。手紙じゃなくて本人を前に、直接この短歌を詠み上げるんだ。」と誉められて、機嫌よくけしかける。
「ええっ! 手紙でなく本人を前にしてですか・・・」
寅「そうよ、どんな反応を示すかどうか、一発でわかるってもんよ。いいかい、相手はいわば短歌のセミプロなんだからな、しかもおまえさん、もうすでに一回振られているんだから、格好つけずに、一発勝負でいけ!」と、この恋の行方を早く知りたがる風。
応援かそれとも早く振られてしまえと思っているのか、まだまだ真智子への思いは捨てきれてないのか寅さん。
「じゃあ、そうしてみます。」
寅「よしっ、てもんよ。これからの準備だけどよ。祭りの当日においらが一条さんの鳥居の下に店を出してっからよ、そこへ真智子を呼び出して、話をしてるからよ、おめえさん、偶然そこへ通りかかった風で、(真智子さん、僕の思いを歌にしてみました。聞いてください)って、それを詠んでみろ、おれが介錯人、じゃなかった立会人を務めて見届けてやるからな。いいな、わかったな。」
「はい、わかりました!」と、素直に応じる。
しかしそれにしても「介錯人」なんて言葉がどうして出てくるのか?一途に思い詰めている青年の目をみると、自分にもこうしたひたむきさはあったのかな、と自らを振り返る寅さんであった。
恋の指南役らしきものとして、百戦練磨を装うが、本当はプラトニックな、むしろ一方的な片恋で終わるパターンがあまりにも多すぎた。坂道を駆け上ったり、転げ落ちたりの、自らの過去に比しても、この青年の、一歩、一歩地道に階段を登りつめるような『真面目な一途さ』を愛する気になった寅さんであった。
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【ポスター】 [第32作]
寅次郎 : 渥美 清
櫻 : 倍賞千恵子
マドンナ : 竹下景子
ロケ地 : 岡山高梁、
広島因島
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岡山県高梁の寺に立ち寄った寅次郎。そこで和尚とその娘朋子(竹下景子)と知り合う。
和尚と意気投合し酒を酌み交わす寅次郎。二日酔いの和尚に代わって寅次郎が法事に行くことになる・・・
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新・四万十川新聞【日曜版】
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『ブログフォーカス(四万十川通信)』
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